かくりよ書房夜明け分館

服飾、文芸ほか雑記

夢の中によく行く場所がありますか

 こんな夢を見た。
 六つになる子供をおぶってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にか眼がつぶれて、青坊主あおぼうずになっている。自分が御前の眼はいつ潰れたのかいと聞くと、なに昔からさと答えた。声は子供の声に相違ないが、言葉つきはまるで大人おとなである。しかも対等たいとうだ。
 左右は青田あおたである。みちは細い。さぎの影が時々やみに差す。
田圃たんぼへかかったね」と背中で云った。
「どうして解る」と顔をうしろへ振り向けるようにして聞いたら、
「だってさぎが鳴くじゃないか」と答えた。
 すると鷺がはたして二声ほど鳴いた。

『夢十夜』夏目漱石 

  夢の中だとまったく知らないはずの場所や人が当たり前に既知になるのが愉快だなと思う。どこ由来の何なのかわからないんですが、複数回夢に出てきた知らないはずの場所がある気がするので書き出します。

 

遊園地

 おそらく東京ドームシティアトラクションズとディズニーランドが頭の中でごっちゃになっている、入園フリーでアトラクションに乗る毎にお金を払うタイプの遊園地。水の上を走るオレンジ色のレールのジェットコースターや、ワゴン式の幌馬車みたいな土産物の露店が立ち並ぶ。大体アトラクションには乗ることが出来ず、はぐれてしまった誰かを探して「早く帰らなきゃいけないのに」と中を走り回ることになる。

 

学校

 おそらく中学生くらいから夢の中に現れ始めた。白い壁で前方にスライド式の黒板と大きなスクリーン、一段上がったところに教壇があり、生徒はふたりで一つの長机に腰掛ける形式。大学に入ったころ講義室に既視感を覚えたのはこの夢に出てくる教室そっくりだったから。

 

祖母の家

 祖母の家ということになっているが完全に非現実のもの。和箪笥と階段が一体になったような構造物があり、そこから屋根裏に上がれる(現実の祖母の家にはタンスも屋根裏も存在しない)。布団を入れている押し入れの奥の壁が外れるようになっていて、そこから狭い通気口のような場所を通ると、時代劇に出てくるような巨大な座敷のある階に出る(もちろん現実の祖母の家には存在しない)。どう考えても外観より中身の方が大きい。大抵通気口から元の場所に戻れなくなって焦ることになる。

 

モノクロの島

 普段夢はカラーで見るが、この島にいるときだけはほぼ視界が白黒になる。自分が着ているワンピースだけが赤い。誰もいない島の中央には大きな池があり、飛び石を伝っていくと浮島の上にピアノが置いてある。夢の中でも私はピアノが弾けない。

 

 並べて書くとちょっとしたゆめにっきですね。

 ゆめにっきはひきこもりになった女の子が唯一自由に歩き回れる夢の中を探索するゲーム。Neverending Nightmareは心を病んだ主人公がループする悪夢の中を永久に彷徨い続けるゲーム。LSDはシュールな夢の中を歩き回るゲーム。「他人が見た夢の話ほどつまらないものはない」という言葉もありますが、夢を追体験するゲームがこれだけ有名になっているところを見ると、みんな結構あの不条理を体験したがっている節があるのではないかという気もする。

 夢、ではないかもしれませんが、夢に近い体験ができる大好きなフラッシュゲームを置いて閉めます。

THE HOPSITAL stay a while, stay forever

 廃墟になってしまった病院を歩き回り、画面に溶け込んでいるカメラのアイコンをクリックして写真を撮っていくゲーム。実際に廃墟ロケをして構成された実写画面の中にコラージュされた不条理がまざりこむのが夢らしくて不穏で好きです。