かくりよ書房夜明け分館

服飾、文芸ほか雑記

7ヵ月リモート講義を駆け抜けた履修生からの伝言

 この春から中学・高校の教員免許を取得するために母校に戻り、教職科目のみを履修する立場で大学に所属していました。
 が、大学で履修関連の書類を受け取った帰りの電車の中で緊急事態宣言が発令され、あれよあれよという間にキャンパス閉鎖、講義開始は延期。私は地方に住んでおり、大学は首都圏にあったため引っ越しの予定もあったのですが身動きが取れず、結局すべての講義を実家からオンデマンド、オンラインで履修する形になりました。

 もしかしたら来年同じ目に遭う新一年生、もしくは対面での学生生活しか知らない学び直し社会人の皆さんがここを見ているかもしれないので、とりあえず3つ、思ったことを書いておきます。

 

①1日の負担を減らせたら減らそう

 対面の感覚であれば1日に4~5コマ講義を詰め込んでも別に平気だと思うのですが、教室と教室の移動がなく、1日ずっとパソコン、もしくはタブレットと睨めっこするというのを前提に、1日の履修コマ数を決めましょう。ブルーライトで目が灼かれます。
 画面が目を灼いてくるのは授業時間だけではありません。出欠席確認、評定の手段が画面、書面しかないため、課題の量が爆発的に増えます。私は現役で学生だった時、レポートはせいぜい期の真ん中と期末の2回程度しか書いて提出した記憶がないのですが、こういう状況になると課題は毎週提出でした。必修が多いと1日最大で3~4本レポートの締め切りが提示され、それが講義を取った日数分続きます。
 所感を書いてください程度ならまったく問題はないのですが、先生が書いた教科書を章ごと要約し、実例を挙げながら検証するよう求められる課題、長尺の動画を見て内容をまとめ、教科書と関連させて論ずる課題など結構ヘビーなものが連続して提示されるとちょっと死にそうになりました。

 可能であれば、先輩に前年度の講義の評判を聞いて、重たい課題を出してくる先生の講義は曜日を分散させて履修した方がよいと思います。私は同じ日に重い課題を出してくる先生の講義を詰め込んでしまったために、特定の曜日の前日が地獄のようになっていました。(ただ、毎時間学んだことをレポートという形で出力する機会を設けられたので、勉強した度合いはオンデマンド、オンライン講義の方が大きかったと思います……)

 

 

②目と腰を労わろう

 10代~20代前半で多少の無理が利く民はいい。問題はそれ以上の年齢、もしくは私のようにめちゃくちゃインドアかつ不健康な生活のせいでベースの体力、身体能力が落ちている民です。
 毎日歩いたりストレッチしたりする時間を設けてください。オンデマンド講義はわんこそばのように課題がやってくるので、気づくとパソコンの前にしがみついてたら微動だにしないまま1日が、1週間が終わっていることがあります。そして背中や腰の筋肉をバキバキに凝らせた状態でふっと前かがみになってものを拾ったりすると、奴が来ます。

 ぎっくり腰が、来ます。

 来ました。死ぬかと思いました。寝ていることしかできないのでその間のレポートの進捗が止まります。オンラインディスカッションで椅子に座らないといけないときは呻きながら机の方まで這って行きました。
 人間の体は絶え間なくパソコンに向かえるようにはできてません。目も心も腰も死ぬ前に、ソーシャルディスタンスを守って外を歩いて来ましょう。

 

③なるたけ自分を労わろう
 ずっと引きこもって課題と向き合い続けていると、日常に起伏がなくなるのでストレスが減るのでは――と、思われる方もいるかもしれません。逆です。起伏がなさすぎる分、今までは見過ごしていた些細な変化に過剰に反応するようになってイライラが加速する場合があります。こんな状況下だと家にいてもピリピリしますし、やりたいこともできない場合が多いです。自覚のあるなし問わず、自分は何かしらを抑圧して過ごしていてストレスが溜まっている……と思ったほうがよいです。

 自分ができるストレス解消の手段をリストにしておいて、課題が進まない時、家で鬱々としているのに気が付いたとき、気軽に実行できるようにしておくのをおすすめします。

 また、リアルタイムのオンライン講義だとそうはいきませんが、オンデマンド授業は受講環境も姿勢も時間も問わないものが大半です。音声教材をmp3に落として聞きながら散歩に出かけたり、部屋の掃除をしたりすることも可能です。机に座ってないとダメということはありません。気楽に消化しましょう。受講した履歴が残って、レポートさえ書ければOKだと思います。

 

 また思い出したら追記するかもしれませんが、取り急ぎ、完全リモートで大学生活を送る羽目になった人間からの伝言3点でした。こうして書くと辛いことばかりのように見えるかもしれませんが、対面でのコミュニケーションが少し不得手だった私は、レポート提出後の画面上のコメント欄で教授と会話したり、メールのやりとりを介して授業の深堀りができたりとオンラインの恩恵もものすごく受けていました。

 辛いことは最小に、できることは最大に、新しい学びの方法を模索できるといいなと思います。