創作
翌日、騎士――青いマントの若者は酒場に現れませんでした。 彼は森の入り口近くで体をずたずたに引き裂かれて見つかりました。獣がいたことは間違いないあの場所で、己の身分を明かしたのです。覚悟の上であったことでしょう。3人は彼の亡骸を埋めると、酒場…
最初に唇を開いたのは、狼の噂が囁かれるようになったころ街にやってきた、異国風の緑の衣装の男でした。彼が喋ると、微かに国境の向こうの異国の音律が混ざるのがわかりました。「……実際、誰が何者なのか、ここで告げてもらったほうがいいんだろうか」 それ…
所属していたオンラインコミュニティ内で行われた『人狼』を見学し、プレイの流れに沿って書いた小説形式のリプレイです。 *** わたしにはかつて、名前がありませんでした。 わたしはことばを話すことができません。わたしが生まれた町では、ことばを話せ…
消したとばかり思っていたブログが細々と生き残っていたことがわかったため、コンテンツを救い出してきた。旧ブログは消す。こちらも、権利の関係等で問題が発生した場合消します。 www.youtube.com 寄宿舎学校、厳格なしきたり、ひそかな反発、少女たちのカ…
学校の教科書以外で短歌というものにさわったのは、この本がきっかけだった。 https://www.kadokawa.co.jp/product/200104000259/ 枡野浩一/ハッピーロンリーウォーリーソング たしか、家の近くの商業ビルの中に『ヴィレッジヴァンガード』という得体のしれ…
平成最後の夏は寝て過ごしていた。 休職をもぎ取って帰ってきた実家の部屋は幼少期から弟と一間を分けて使うかたちになっていた。彼が思春期に突入する頃に私は家を出たためどうにかなっていたようなものだが、だいぶ無理のある状態だったと思う。弟は勿論現…
「宇宙」を知らなかった小学生と話す機会があった。その子は私の「宇宙、わかる? 空の上の方……」というめちゃめちゃふわふわで雑な説明に「天国ですか?」という問いを返したのだけれど、そうか、ビフォア宇宙は天国か、とも思い、神話の世界がなまなましく…
こんな夢を見た。 六つになる子供を負おぶってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰つぶれて、青坊主あおぼうずになっている。自分が御前の眼はいつ潰れたのかいと聞くと、なに昔からさと答えた。声は子供の声に相違ないが、言…
2015年の春くらいから折に触れて絵の練習をしています。 高校生の頃は美術部にいたのだけれど画力がある方ではありませんでした。自分の中にあるよくわからない世界のようなものを描くのが好きだったはずなのだけれど、展覧会に出した絵を顔も名前も知ら…
先日好きな映画について熱く語りすぎたせいか書くことが思いつかないので、MPが0でもできてしまうことの実演を実験します。 早川はキャラクターをつくる、が異常に好きです。ツイッターのフォロワーさんをキャラクター化する企画でめちゃめちゃ遊んでいただ…
「自分で考えろ」の泥沼 昨今よく聞かれる若者に向けたdisに、「考える力がない」というものがあります。 受動的、主体性がない、創意工夫が見られない、言われたことだけやってりゃいいと思ってる、ほか、絶望的に魅力のない枕詞もセットでついてくることが…
今週のお題「読書の秋」 朝起きると霜が降りる時期になりました。おはようございます。 読書の秋だそうです。寒い、外に出たくない、けどこれ以上パソコンやスマホの画面見てると目を悪くしそうだしちょっと頭痛くなってきた……という時にぼんやり読める本を…